創作文

【創作文】「制服」「握り返された手」「焦燥」

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お題に沿って文章練習。
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「制服」「握り返された手」「焦燥」

制服交換してみようよ。そういったのは、小学校からの幼馴染。中学校で進学校を受験した私は、皆とは違う学校になったものの、まだ勉強が本格的になるでもない時期には、こうして週末、たまに遊ぶ程度には、関係は続いていた。

「やっぱ夏の学校、制服可愛いー!私もそこにすれば良かった。」「理子の頭じゃ…ちょっと無理でしょ」「ひどい〜」

ふふ、とお互いに笑いながら、いつも自分が着ている服を着た、幼馴染の姿をみる。けして彼女が着ることはなかっただろう灰色のブレザーは、彼女にとても似合っていた。「可愛い」素直にそういえば、理子は本当?と嬉しそうに返してきた。

「じゃあ高校は頑張って、夏と同じとこ行こうかな。」「無理でしょ」「頑張るし!」

軽口をたたきなから、自分の着ているものに目を向ける。鏡に写った、紺色のセーラー服を着た自分。本音を言えば、私もこのセーラー服を着て、皆と、いや、理子と同じ学校に行きたかった。親がそれを許すはずもないのは、とうに知っていたけど。ふと黙って自分を見ていた私の手を、理子がそっと握ってきた。

「な、なに、どうしたの」

焦る私に、理子は、普段のバカっぽい雰囲気とは違う、優しい笑みを、私に向けた。

「夏はもっと、わがままになればいいのに」

理子はそう言う。

「私頑張るから!高校は同じとこ行こうよ」

そんな簡単な事じゃないのに。この子は明るく、そう希望を口にする。小さな頃から変わらない。
その明るさに、憧れる。

「…ばかね」

私はそう言いながらも、その手をぎゅっと、握り返した。

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